2024年7月 東証スタンダード市場 IPO
会社URL:https://cados.jp/
とりあえず総評成長力 D : 成長性低いけど優良企業!
納得点数 | 懸念点数 | 成長可能性 総合評価 |
+2点 | ▲2点 | 0点 (ランクD) |
※足元株価は考慮せず、総合評価はA~Eだよ!
- 山口県広島県を地盤とした地場優良建設会社が上場する。
- 大和ハウス工業出身の創業者が、大和ハウス工業が得意とするロードサイド地主への提案営業を地方で展開し、成功した事例だね。
- 中小不動産会社が目指す王道的ビジネスモデルのひとつで、安心感がある。建設業と不動産業の相乗効果で、時間をかけて地主との信頼関係や企業基盤ができてくれば、安定収益が継続する。
- 成長には時間がかかり、地方での事業には成長上限もあるけれど、業績安定した地方優良建設会社だよ。
アルが評価する成長可能性
【有価証券届出書による事業内容】
(前略)当社は、「お客様の発展を願うことが我社の発展の鏡と心得、共生と共栄を目指します」の企業理念のもと、「この街にこんなお店があれば便利だな」「この街にあのお店ができれば嬉しいな」という地域の声を形にし、地域の街づくりに貢献する企業のひとつとして、地域の価値向上を目指した事業を行っております。具体的には建設事業と不動産事業の2つを柱とする事業展開を行っております。(中略)
(1)建設事業
当社は、建設事業として、山口県・広島県を中心に主として流通店舗の設計施工を行っています。なお、当社は元請を主としており、実際の施工は当社の協力会社(下請会社)が行っております。
創業以来、土地の有効活用を希望する土地オーナーの情報、事業に適した用地の情報、新しい事業展開のために拠点を求めるテナント企業の情報を収集してまいりました。これらの情報をもとに、土地オーナーとその土地に適したテナント企業を引き合わせ、双方のニーズをつなげることで建築工事の受注に結び付けるビジネスモデルを「カドスLANシステム」と呼び、当社にとって強みと言えるビジネスモデルであると考えており
ます。これにより、土地の特性に合わせた最適な事業プランの提案から店舗の設計施工、テナント企業の出店までをトータルプロデュースしております。(以下略)
【財務状況】
引用:株式会社カドス・コーポレーション(E39729) 有価証券届出書(新規公開時)
https://disclosure2dl.edinet-fsa.go.jp/searchdocument/pdf/S100TM6B.pdf
決算期 | 2022/7 | 2023/7 | 2024/4 (9ヶ月)
|
売上高 | 4,523 | 5,660 | 4,654 |
経常利益 | 472 | 512 | 415 |
純資産 | 2,704 | 3,045 | 3,268 |
総資産 | 6,390 | 7,667 | 7,177 |
従業員数 | 79 | 88 | 97 |
(単位:百万円)
アルの視点からはどんな会社なの?
成長性を評価してみた
成長性への納得(プラス点数)
1 軌道に乗れば収益力が高い定番事業
評価+1点
- 当社は山口県・広島県を中心に主として流通店舗の設計施工を主力事業としている建設会社で、施工はすべて下請会社が行っている。大和ハウス工業出身の創業者が、大和ハウス工業が得意とするロードサイド地主への提案営業を地方で展開し、25年かけて業績をIPO水準まで仕上げている。
- 大和ハウス工業の社員は全国あちこちで創業し、同様の不動産業を営むが、成功している事業者が多い。時間をかけて地主との関係構築や、ナショナルチェーン企業との信用ができてくれば、収益力が高い事業になる。中小不動業者の多くがGoalとして目指す姿だ。
2 管理料、転貸収益鞘、憂慮自社物件により継続的収益基盤が強固
評価+1点
- 不動産事業があるため収益力は底堅い。土地オーナーとテナント企業の不動産賃貸契約の仲立ちを積極的に行い、管理料や転貸収益鞘が継続的に発生する物件が相当数積み重なっていると思われる。自社保有物件も、大和ハウス工業勤務歴ある創業者の目利きで、優良な自社賃貸不動産を蓄えてきた結果だろう。
- 成長するかどうかは別として、安定収益を計上し続けることは十分可能だと判断される。IPOしてくる不安定なベンチャーとは一線を画す優良企業だ。
成長性への懸念(マイナス点数)
1 業績数倍になる明確な戦略がない
評価▲1点
- 全国各地に、当社のような地場優良の建設不動産業者は上場企業を含めて存在するが、一定の営業エリアや業績で足踏みしている。当社も先人の企業群と同じく、優良企業ながら成長上限がある可能性が高い。
- 流通店舗はいったん建設すると修繕や管理の受注は続くが、15年以上は建て替え受注がない。営業エリアを拡大して地主との信頼関係を創り出すのが成長戦略となるが、これには時間とコストがかかり、M&Aでも時間短縮が難しい。
2 地方衰退という外部環境の逆風
評価▲1点
- 少子高齢化で人口が衰退する地方都市では中心市街地が衰退し、主要道路のロードサイドに店舗が増えている。当社はその時流に乗って、ロードサイド地主との関係づくりに努め、ロードサイド不動産をナショナルチェーン企業へ紹介し建築受注している。
- 地方の店舗建設案件は需要規模に上限があり、地方衰退も相まって案件数は中期的に伸び悩むと判断される。当社は足元業績は伸びているが、ドラッグストアなどロードサイドを主戦場とするチェーンの出店意欲は全行的に旺盛で、コロナ明けの揺り戻しもあって、ハコモノ建設業者の業績が短期的に伸びたのは珍しいことではない。
ABOUT ME
新規事業の構想が大好きです
IPOで株式市場に登場する企業から学びを得ています
職歴:ベンチャーキャピタル、リース会社企画部門、銀行法人融資
資格:応用情報技術者、中小企業診断士、FP1級ほか