アル
(最終評価日:2025年8月6日)
2024年12月 東証スタンダード市場 IPO
会社URL:https://www.kuroda-group.com/hd/
とりあえず総評成長力D : 事業存続は可能だが、成長性は低い。
納得点数 | 懸念点数 | 成長可能性 総合評価 |
+1点 | ▲2点 | ▲1点 (ランクD) |
※足元株価は考慮せず、総合評価はA~Eだよ!
- しばらく掲載を休んでいて、追っかけで昨年12月上場の黒田グループを評価したら、珍しい事態になってるようだ。
- 2018年のTOB上場廃止から再上場まで97%の議決権を所有し、実質的に当社を経営してきた投資ファンド(MBKパートナーズ)が、IPO後1年未満で全株売却し撤退するという事態が発生した。東証、主幹事証券(SMBC日興証券)、メインバンク(三井住友銀行および三菱UFJ銀行)も、この事態には困惑しているのではないかな。
- アルが仕事で多数関与してきた、ローテクな地方中小工場の大企業版だ。事業維持は大丈夫だと思うけど、事業の成長性は低いと判断するね。
- これはアルの個人的な推察として書くよ! MBKパートナーズの出口手法は、「議決権97%だが、成長性厳しいから損切として、1年未満で全株一括売却して資金回収する。売却株価維持および吸収先確保の対策として、予め予想配当利回りを身の丈以上の7%前後に設定させておいて、個人投資家に買ってもらう。」というシナリオだと考えられる。 何かのテキストに事例が載りそうだね。お見事!
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アルの視点からはどんな会社なの?
成長性を評価してみたo
成長性への納得(プラス点数)
1 サプライチェーンでの存在感あり
評価1点
- 当社の売上規模からして、自動車産業や各種製造機械のサプライチェーンにおいて、重要な企業であると思われる。IR資料にはデンソーへの売上依存度40%(480億円)と記載されており、当社に何かあればデンソーも相当困るだろう。
- こういう協力工場を、メーカーはできるだけ存続させようとする。銀行団も、過去TOBローンの実質的残債が284億円もあるため、頑張って支援するだろう。事業継続自体は問題ない。
成長性への懸念(マイナス点数)
1 ローテクで時代に取り残されていく旧世代業種
評価▲1点
- アルは仕事での工場視察で、黒田グループが製造を担う「液晶ディスプレイ用印刷版、自動化設備、樹脂成形金型、HDD 用部品、電力電設資材、アルミダイカスト製品、プリント回路基板」の現場を見てきた。
- その大半がローテクで、元気の無い工場が多く、技術的成長性は見込み難い。真面目にやっていれば事業継続はできるが、利幅は薄く、先行投資や技術開発までのキャッシュを生めない。生産技術的に取り残されていくが、自社では何ともならない。こういう下請け工場は、地方に行けば、大小たくさんある。
2 MBKパートナーズの出口戦略(配当利回り)で、成長投資が難しくなっている
評価▲1点
- 当社の株価を支えているのは、配当利回り7%前後を期待する個人投資家たち。アルの勝手推定だが、個人投資家たちは、MBKパートナーズが出口戦略(前述)に乗せられた可能性が高い。
- 総資産1,000億円近い企業なのに、2026年3月連結業績予想は売上高1,210億円で当期利益40億円という低収益体質である。総資産規模と事業利益率を勘案すると、通期予想配当で26億円も出すと、維持投資すら不足する。元々当社のCFは潤沢でなく、会計上の配当財源はあっても、CF上の配当財源は余裕がない。トランプ関税影響で収益低下すれば配当減額もある。尚、赤字額が大きくなれば、のれん190億円(純資産の1/2相当)の減損可能性も出てくる。先行きは厳しそうだ。
【有価証券届出書による事業内容】
当社グループでは、当社及び連結子会社で、液晶用特殊印刷版、電設関連資材、ハードディスクドライブ用部品、産業モーター用アルミダイカスト製品、自動車向け大型樹脂成形金型、精密組立・各種自動化設備の製造及び販売に加え、電子回路設計・基板設計の受託開発及び販売を行っています。
【財務内容】 単位:百万円
決算期 | 2023/3 | 2024/3 | 2025/3 |
売上高 | 139,275 | 126,691 | 121,327 |
税引前利益 | 4,074 | 1,168 | 5,544 |
純資産 | 34,619 | 34,144 | 38,426 |
総資産 | 101,799 | 98,316 | 95,782 |
従業員数 | 3,222 | 2,462 | 2,520 |
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新規事業の構想が大好きです
IPOで株式市場に登場する企業から学びを得ています
職歴:ベンチャーキャピタル、リース会社企画部門、銀行法人融資
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