2024年11月

Terra Drone[テラ ドローン]

アル

(最終評価日:2025年1月4日)

2024年11月 東証グロース市場 IPO

会社URL:https://terra-drone.net/

とりあえず総評

成長力 C : 客観的評価で世界1位だが、ビジネスゲームに見えてしまう

納得点数懸念点数成長可能性
総合評価
+4点▲2点2点 
(ランクC)
※足元株価は考慮せず、総合評価はA~Eだよ!
  • 2024年『ドローンサービス企業世界ランキング』で、2度目の世界1位を獲得したテラドローンが上場した。
  • ドローンや空飛ぶ車という低空域経済圏で、グローバルプラットフォームを確立したいという壮大な事業を計画しているね。
サピくん
サピくん
  • 近年の起業家は「社会的課題の解決」を軸とするけど、テラドローンの徳重社長は「ビジネスチャンスを見つけてメガベンチャーを目指す」を軸としているみたいだ。
  • 技術は創出でなくカネで獲得という、MBAホルダーの徳重社長らしいやり方であるが、原理原則的に考えると、このビジネスゲームは上手くのか疑問だな。
アル
アル
アルの視点からはどんな会社なの?

成長性を評価してみた

成長性への納得(プラス点数)

1 客観的評価で世界一のドローンサービス企業

  評価+3点

  • 当社は、測量点検農薬散布などのサービス分野で、ドローンのハードおよびソフトの開発とサービス提供を行う。同業他社との大きな相違点は、ドローンや空飛ぶクルマの運航を管理するためのシステム(UTM)の開発提供まで取り組んでいる点で、低空域経済圏のグローバルプラットフォーマーを目指している。
  • 海外事業の関連会社は6社、サービス展開国数は14ヶ国となり、世界的なドローン市場調査機関が発表した「ドローンサービス企業世界ランキング2024」において、産業用ドローンサービス企業として世界1位を獲得している。客観的にも評価の高い事業である。

2 MBA的な思考で商材を選び、冷徹なビジネスゲームをしている

  評価+1点

  • 近年の起業家は「社会的課題の解決」を軸とするが、当社の徳重社長は「ビジネスチャンスでメガベンチャーを目指す」を軸としている。德重社長は、EV自動車のTerra Charge(旧Terra Motors)の創業者で同社社長を兼業し、同社の新規事業として開始したドローン事業をスピンアウトさせ当社を設立した。
  • 当社は設立以降、Terra Chargeが集めた資金からの借入と、投資家からの直接出資を活用してカネを作り、世界各国のドローンに関わるサービスや技術を有する企業を買収したり出資したりして、技術ノウハウ情報人脈などを獲得しながら事業拡大してきた。起業家特有の変な夢を抱いておらず、信頼できる経営とも言える。

成長性への懸念(マイナス点数)

1 つぎはぎのコアコンピタンスで成功できるのか

  評価▲1点

  • 当社の戦略は、全世界のドローン企業を対象に、技術や設備のある企業は買収し、現地サービスに強みがある企業は段階出資で頑張ってもらうというもの。ドローン企業は夢があるだけで大抵は赤字なので、その経営難企業を買収したり過半出資して、のれんを計上して減損損失で最終処理して、技術や基盤を取り込んでいく。
  • 当社が出資や子会社またはJV設立を実施した海外法人では、既に20社以上が売却清算閉鎖などの結末となっている。技術は創出でなくカネで獲得という、MBAホルダーの徳重社長らしいやり方であるが、原理原則的に考えて上手くいくやり方なのか疑問である。当社独自のコアコンピタンスはどこにあるのだろうか。

2 難しい技術ではないため、大資本に一蹴される可能性あり

  評価▲1点

  • ウクライナ戦争などでドローン攻撃が活用されたこともあり、近年はドローン産業への期待が高まっている。しかしながら、ドローン業界は低空域交通関連の法的整備が遅れるほか、赤字企業が多く、大手資本からすると新規参入の魅力が少ない。
  • 自動車やAI等と比べ、ドローンは技術的に参入容易な産業である。今後、低空域交通ビジネスの利用が具体化されれば、大手資本が本格的に参入し、プラットフォーム含め一気に持っていかれる可能性がある。
どんな会社だと公表されているの?

会社の概況

【有価証券届出書による事業内容】

(前略)当社グループは、当社及び連結子会社8社(Terra Global株式会社、PT. Terra Drone Indonesia、Terra Inspectioneering B.V.、Terra Drone Agri SDN. BHD.、Terra Drone Arabia for Drones、Unifly NV、Unifly Inc.、Unifly Rotech S.R.L.)、持分法適用会社1社(Aloft Technologies, Inc.)の計10社で構成されており、 産業用ドローンをはじめとしたハード・ソフト・サービスを組み合わせたソリューションを提供している「ドロー ンソリューションセグメント」と、UTMの開発・構築及びそれらを通してドローンの運航管理を行う「運航管理 セグメント」の2つのセグメントを通じて、低空域経済圏(注1)のグローバルプラットフォーマーの実現を目指 しております。 ドローンサービス企業として世界Top3に入り(注2)、海外で事業を行う関連会社6社(注3)、サービス展開 国数は14ヶ国(2024年1月期)(注4)となる、グローバルな事業展開を行っております。(以下略)

【財務状況】

引用:Terra Drone株式会社(E40060) 有価証券届出書(新規公開時)
https://disclosure2dl.edinet-fsa.go.jp/searchdocument/pdf/S100UKYV.pdf
決算期2023/12024/12024/10
(9ヶ月)
売上高1,9492,9633,118
当期利益▲1,112▲354▲408
純資産4,5165,0454,676
総資産6,2167,1336,790
従業員数186548612

ABOUT ME
アル
アル
新規事業の構想が大好きです
IPOで株式市場に登場する企業から学びを得ています

職歴:ベンチャーキャピタル、リース会社企画部門、銀行法人融資
資格:応用情報技術者、中小企業診断士、FP1級ほか
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