(最終評価日:2024年10月2日)
2024年10月 東証グロース市場 IPO
会社URL:https://alt.ai/
とりあえず総評成長力 B : 経営者は天才的、議事録作成ツールも更に伸びる!
納得点数 | 懸念点数 | 成長可能性 総合評価 |
+5点 | ▲1点 | 4点 (ランクB) |
※足元株価は考慮せず、総合評価はA~Eだよ!
- 議事録作成ツール「AI GIJIROKU」を提供するオルツが上場する。
- 企業はどこも人手不足で、会議の文字起こしツールの需要は拡大している。各社からAIを使った議事録作成ツールが出てきていて、この市場は戦国時代だね。
- 当社は売上のほぼ全額を広告宣伝費に再投入し、大胆な成長を遂げている。最近では全国郵便局への導入も進み、見た目は赤字だけど、実態は高収益企業になっている。
- ただ、IPOで標榜している「パーソナル人工知能」分野の事業化は難しいと思うな。AIは黎明期なのに、既に大企業の寡占が懸念されているから、当社規模の経営資源だとキツイね。ただ、米倉社長は天才なので、事業分野のレベルを下げれば何でも事業化できると思うよ。
アルが評価する成長可能性
【有価証券届出書による事業内容】
(前略)当社は、「個人の記憶の永遠化・意思の再現・個人の価値の最大・永遠化により自律社会の実現を加速させるパーソナル人工知能」の開発を目指し、「ラボーロからオペラへ」と「私たちの存在を永久にする」の2つをMission(使 命)に掲げ、創業より一貫して「P.A.I.」(パーソナル人工知能)の研究開発を行っております。「P.A.I.」(パー ソナル人工知能)とは、私たち自身の意思をデジタル化し、それをクラウド上に配置してあらゆるデジタル作業をそのクローンにさせることを目的としたAIであり、当社は、全ての人が自分のAIを持つことによって、労働(Lavoro) から解放され、アーティスティックな営み(Opera)に没頭することができる世界を実現することを目指しています。 これが実現することにより、現在多く見られる「労働集約型ビジネスモデル」から「知識集約型ビジネスモデル」へと転換が行われると考えております。(以下略)
【財務状況】
引用:株式会社オルツ(E39967) 有価証券届出書(新規公開時)
https://disclosure2dl.edinet-fsa.go.jp/searchdocument/pdf/S100UC0J.pdf
決算期 | 2022/12 | 2023/12 | 2024/6 (6ヶ月)
|
売上高 | 2,666 | 4,112 | 2,844 |
経常利益 | ▲670 | ▲1,497 | ▲1,126 |
純資産 | 3,118 | 2,304 | 1,176 |
総資産 | 3,522 | 3,397 | 3,721 |
従業員数 | 15 | 16 | 20 |
(単位:百万円)
アルの視点からはどんな会社なの?
成長性を評価してみた
成長性への納得(プラス点数)
1 米倉社長の天才性で、実現したビジネスだけでも相当な収益性がある
評価+4点
- 当社の売上の9割超は「AI GIJIROKU」というクラウド定額型の議事録作成ツールである。この文字起こしツールはサブスクに近い課金制なので、一度企業に導入されると、継続収入として累積的に売上が伸びていく。
- 米倉社長は、議事録作成ツールについて、広告宣伝の勝負時であるとみているらしく、直前期は売上高41億円に対し広告宣伝費38億円を投入するほど、売上高に匹敵する多額の広告宣伝費の投入を続けている。それほど広告宣伝しなければ伸びない反面、成長を諦めて広告宣伝費を圧縮したならば、売上高40億円で経常利益20億円という高収益ビジネスに転じるということになる。
2 議事録作成ツールは市場環境が良いので更に伸びる
評価+1点
- 人手不足により議事録作成ツールの市場規模は右肩上がりで、足元4,000~5,000億円と想定されているらしい。この市場はまさに戦国時代で参入企業が群雄割拠しており、どこも当然にAI技術を用いている。
- 当社の議事録作成ツールは知名度があり、業界専門用語への対応が比較的良いという強みもあるため、各比較サイトなどで上位にノミネートされている。売上のほとんどを広告宣伝費として投資し続ければ、更に当社売上高は伸び、実態収益も伸びていくことだろう。
成長性への懸念(マイナス点数)
1 AI開発の実力は不明確
評価▲1点
- 当社のAI技術の中で、事業化に成功したのは議事録作成ツールのみで、これは同業他社もAI活用している。当社の他の事業は、PoC(実現可能か検証する作業)売上や開発段階にとどまっている。
- AI関連事業分野においては、資金力や技術力の高い競合他社が全世界に存在し、新規参入も増えている。単独開発によって、当社の理想である「パーソナル人工知能」を収益事業として実現させるのは、さすがに無理があると思われる。自社の言語モデル活用サービスには強みがありそうなので、ここが当社の今後の事業範囲と判断される。
ABOUT ME
新規事業の構想が大好きです
IPOで株式市場に登場する企業から学びを得ています
職歴:ベンチャーキャピタル、リース会社企画部門、銀行法人融資
資格:応用情報技術者、中小企業診断士、FP1級ほか