キッズスター
(最終評価日:2024年9月18日)
2024年9月 東証グロース市場 IPO
会社URL:https://www.kidsstar.co.jp/
成長力 C : 年商が数倍になる程度の成長は期待できる!
- 大企業にブランディングのためのアプリ出店を提案し、DXマーケティングコンサルと個社別ゲームサイト制作を受託する。受託売上と出店課金から収益を上げるモデルで、よくできている。
- 大企業向けだから市場規模はそんなに大きくならないけど、確実に成長すると思うよ。ただ、「幼児向け子供向けの刷り込み広告が主目的」と消費者が判断し始めると、大企業が一気に手を引くかもしれないというところに懸念があるね。
アルが評価する成長可能性
会社の概況
【有価証券届出書による事業内容】
(前略)当社は、子どもの夢中に寄り添い、育て、活性化することで、子どもの成長をサポートしていくことを目的として、「子どもの夢中を育て、応援する」をミッションに掲げており、インターネットメディア事業として、主にファミリー向けデジタルコンテンツの開発及び提供をしています。 昨今、ICT(情報通信技術)の活用が進み、また、コロナ禍を契機としたテレワークの普及やオンライン授業の拡大等を通じて家庭で過ごす時間が増えるといったように、私たちを取り巻く社会環境は大きく変化しています。そのような環境の下、当社は、スマートデバイスを通じて、社会との繋がりを作り、子どもたちが楽しみながら「社会体験(ごっこ遊び)」ができるソリューションとして、アプリサービスの「ごっこランド」を提供しています。 サービスの名称である「ごっこランド」の由来でもある「ごっこ遊び」とは、身近な物事の真似をして楽しむ再現遊びの一環で、子どもが何かになったつもりになって、対象の「ふり」や「まね」をする遊びであり、保育園や幼稚園において、子どもたちは日常的に何かになりきったり、役割を演じたりする姿がよく見受けられます。 日常の何気ない風景の一部である「ごっこ遊び」ですが、子どもたちはそれらを通じて、日常生活における”役割” を認識するようになり、自然と社会性や協調性を身に着け、子どもたちなりに様々なシチュエーションをイメージしながら遊ぶことで、想像力や発想力を育んでいます。 加えて、「ごっこ遊び」は、子どもたちにとっての小さな社会活動であり、当社は、ICTを活かしたデジタルコンテンツを通じて、子どもの成長をサポートする役割を担っています。 また、当社サービスである社会体験アプリ「ごっこランド」は、子どもたちの「社会体験(ごっこ遊び)」が可能となる企業・自治体の魅力が豊富に詰まっている体験型のデジタルコンテンツが存在します。子どもたちが楽しみな がら社会性を育むための重要な体験を創出すると共に、親御様も含めて、企業ブランド、製品及び各自治体の理解を深めることができ、ファンの創出に繋いでいくことを可能にし、2013年5月のサービス開始以来、その利用者数は成長し続けております。また、2024年7月から「ごっこランド」の利用者に向けたリアルイベントを全国各地で開始し、デジタル・リアルを一体とするサービスの展開を進めてまいります。(以下略)
【財務状況】
引用:株式会社キッズスター(E39449) 有価証券届出書(新規公開時)
https://disclosure2dl.edinet-fsa.go.jp/searchdocument/pdf/S100U9UI.pdf
決算期 | 2022/12 | 2023/12 | 2024/6 (6ヶ月) |
売上高 | 565 | 765 | 403 |
経常利益 | 105 | 156 | 55 |
純資産 | 307 | 417 | 450 |
総資産 | 575 | 772 | 797 |
従業員数 | 39 | 51 | 57 |
成長性を評価してみた
成長性への納得(プラス点数)
1 新ビジネス創出でブルーオーシャン状態
評価+3点
- 当社の主力サービスである「ごっこランド」は、3歳から10歳向けの「社会体験(ごっこ遊び)」ができるゲームアプリである。これまで業種限定の類似サイトは多くあったが広告収入型アプリで、アプリ出店企業を募るのとは別物。新しいビジネスで、国内に目立った競合が1社しかいないというブルーオーシャンになっている。
- 大企業にブランディングのための出店を提案し、DXマーケティングコンサルと個社別ゲームサイト制作を受託する。受託売上(出店者イニシャルコスト)と出店課金(出店者ランニングコスト)から収益を上げるモデルである。ユーザーは無課金で広告もなくゲームサイトを利用できる。よくできたビジネスモデルだ。
2 くふうカンパニー穐田誉輝氏の才覚で進化する期待
評価+1点
- 「食べログ」「カカクコム」「クックパッド」ほか多数の企業を上場させた穐田誉輝氏の率いる上場投資会社「くふうカンパニー」が当社の親会社である。当社がシーズステージの頃に穐田氏が買収し、ビジネスをここまで育ててきた。
- くふうカンパニーの傘下には複数の上場企業や予備軍が在籍しており、穐田氏の才覚とグループ連携効果で、当社ビジネスの更なる進化が期待できる。
成長性への懸念(マイナス点数)
1 市場規模はそんなに大きくならない
評価▲1点
- 出店企業はナショナルブランドといわれる大企業が中心となるため、想定されるマーケット規模は然程大きくない。
- 当社の業界首位ポジションは揺るがないだろうが、現在のビジネスの延長で、売上高が10倍20倍になるとは考えにくい。
2 幼児向け刷り込み広告事業は、消費者から疑念を持たれるかもしれない
評価▲1点
- あくまで私見である。このビジネスは、一見は社会課題解決型ビジネスに見えるが、よく考えられた刷り込み広告である。ゲームアプリを見ると、大企業のロゴが随所に露出したイメージ広告であり、幼少期のころからの刷り込み効果が主目的である。
- 知育アプリの名目で、実態は幼児向け子供向けのブランディング刷り込み広告事業となると、消費者から疑念が持たれる可能性がある。そうすると出店大企業は、一気に手を引くかもしれない。