(最終評価日:2024年8月31日)
2024年9月 東証グロース市場 IPO
会社URL:https://roxx.co.jp/
とりあえず総評成長力 D : 時期尚早感のあるIPOだけど、転職市場が好況なので成長はする!
納得点数 | 懸念点数 | 成長可能性 総合評価 |
+2点 | ▲2点 | 0点 (ランクD) |
※足元株価は考慮せず、総合評価はA~Eだよ!
- 転職サイト「Zキャリアサービス」を運営するロックスが上場する。
- 2024年は転職者も求人数も更に増えていて、転職市場は今後も活発化していく見込みだね。Zキャリアでは、年収400万円未満の現場作業従事者の正規雇用市場をターゲットにしているよ。
- アルからすると、赤字が続いていて、ピカイチの競合優位性がない現状でのIPOは時期尚早だと思うな。今期業績は売上30億円台まで増収だが赤字継続の見込み。おそらくは売上60億円で黒字化したタイミーの成長モデルを参考にしているのだろうけど、大丈夫かな… 尚、リファレンスサービスには、強みがある。
- ロックスターさながらの中嶋社長が、これからもロックな事業運営をしていくのだと思われる。
アルが評価する成長可能性
【有価証券届出書による事業内容】
(前略)当社は、「時代の転換点を創る」をミッションとし、テクノロジーを活用することでノンデスクワーカーの正社員化を推進し、低年収層の所得向上を目指すHR Techカンパニーであります。当社が提供する主要なサービスは以下のとおりです。
(1) Zキャリアサービス
① サービス概要
Zキャリア(旧agent bank)は正社員希望の求職者、未経験人材を積極的に採用する求人企業、マッチングを担う人材紹介会社が利用する、ノンデスクワーカーに最適化した転職プラットフォームです。ノンデスクワーカーとは、デスクから離れた「現場」で働く就業者のことを指し、主に製造・建設・運輸・サービス業等に従事しており、日本の全就業者の約67%(注)1.がノンデスクワーカーに該当します。(中略)
当社は、年収400万円未満のノンデスクワーカーへの転職支援に注力し、社会インフラ領域の求人企業とノンデスクワーカーのマッチングに最適化した転職プラットフォーム「Zキャリア」を開発・提供してまいりました。(以下略)
【財務状況】
引用:株式会社ROXX(E39906) 有価証券届出書(新規公開時)
https://disclosure2dl.edinet-fsa.go.jp/searchdocument/pdf/S100U900.pdf
決算期 | 2022/9 | 2023/9 | 2024/3 (6ヶ月)
|
売上高 | 1,214 | 2,076 | 1,505 |
経常利益 | ▲749 | ▲743 | ▲436 |
純資産 | 924 | 313 | 35 |
総資産 | 1,667 | 1,485 | 1,572 |
従業員数 | 131 | 212 | 291 |
(単位:百万円)
アルの視点からはどんな会社なの?
成長性を評価してみた
成長性への納得(プラス点数)
1 低所得の現場作業従事者をターゲットとした差別化戦略
評価+1点
- ロックス社は人材紹介サービス業である。運営する「Zキャリア」は転職サイトであり、「年収400万円未満の現場作業従事者の正規雇用市場」をターゲットとしている。この市場は、年収比例とされる紹介報酬が低いため比較的競合が緩やかである。尚、非正規雇用分野ではスキマバイトが急拡大している。
- 2009年以降の転職市場は、右肩上がりで成長が続く。当社がターゲットとする現場作業従事者の労働環境は、離職者が多いため、求人と転職の需要は極めて旺盛である。この魅力的な市場で差別化戦略を行い、IPOできる売上規模まで来たことは評価できる。
2 リファレンスチェックサービスの事業基盤あり
評価+1点
- ロックス社は、back checkサービスというリファレンスチェックサービスも行っている。リファレンスチェックとは、求職者が転職選考を受ける際に、前の職場の上司や同僚の数名に求職者から依頼して、サービス企業が送るLINEなどを利用した「前職場での仕事振り人物像アンケート」に回答してもらい、その結果が選考企業に採用参考資料として送信されるサービスである。転職市場の拡大とともに、採用する企業が増えている。
- Zキャリアの規模知名度は高いとは言えないが、ロックス社のレファレンスチェックサービスの認知度は大手に引けを取らない。現在は当社売上高の2割程度の規模であるが、このサービス市場が拡大した場合、当社にとって大きな成長の柱となるだろう。
成長性への懸念(マイナス点数)
1 競合優位性は感じられない
評価▲1点
- Zキャリアは掲載8.2万求人と公表しているが、求職者が登録する対象にしっかり選ばれるところまでは、求人数と認知度が高まっていない。
- Zキャリアも様々な支援サービスを行うが、大手転職サイト各社の支援サービスはいずれも独自性があり秀逸である。あくまで私見だが、Zキャリアの支援サービスは、大手と比べると若干見劣りする。
2 当社の財務体力に対する不安
評価▲1点
- 2024年9月期の業績は売上高30億円で、大きな赤字が継続する見込みである。タイミーが赤字続きから60億円で黒字転換して上場したので、当社も売上高60億円程度で黒字化、その後の売上成長で大幅黒字というシナリオと推察される。
- しかし、損益分岐点の半分程度の売上でIPOし、成長ペースは緩やかである。IPO直前に金融機関から7.5億円の借入をしたところを見ると、ファンドからの調達が上限に達して、時期尚早のIPOに踏み切ったと見えてしまう。
ABOUT ME
新規事業の構想が大好きです
IPOで株式市場に登場する企業から学びを得ています
職歴:ベンチャーキャピタル、リース会社企画部門、銀行法人融資
資格:応用情報技術者、中小企業診断士、FP1級ほか