タイミー
2024年7月 東証グロース市場 IPO
会社URL:https://timee.co.jp/
成長力 B : 規制されるまで成長する低所得層向けビジネス!
- スキマバイトで知名度の高いタイミーが上場する。
- スポットワーク仲介は新市場で法整備が追いついていないため、課題山積の状態。でも、新型コロナ明けでサービス業は人手不足のため需要が高いから、急成長が期待できるね。
- 低所得層向けビジネスだから、高い事業収益も見込める。尚、後述するけど、アルの目でこの手のビジネスを見ると、複雑な心境になる。
- 政府が黙認状態なので大手資本も参入し始めたが、当社くらいの業界ポジションがあれば成長を継続できると思うよ。
アルが評価する成長可能性
会社の概況
【有価証券届出書による事業内容】
(前略)スキマバイトサービス「タイミー」
「タイミー」は有料職業紹介事業として「働きたい時間」と「働いてほしい時間」をマッチングするスキマバイトサービスであります。従来の求人媒体型サービスと異なり、「タイミー」でマッチングする業務はクライアントとワーカーの1日単位の直接雇用となっております。 創業者である小川嶺が単発アルバイト勤務を繰り返している中で潜在的に感じたフラストレーションを解消させることで事業が構想されており、応募から働くまでの工程削減(履歴書なし・面接なし)や正当な評価(相互レビュー機能)、働いてから入金されるまでの時間短縮(即金性)に受け継がれています。働き手(以下、「ワー カー」という。)は、働きたい案件を選ぶだけで、履歴書なし・面接なしですぐ働くことができ、勤務終了後すぐに報酬を受け取ることができ、雇用主(以下、「クライアント」という。)は、来て欲しい時間や求めるスキルを設定するだけで、条件にあったワーカーが自動的にマッチングします。新しい就業機会を得たワーカーにとっては 「タイミー」での出会いや経験が就業、起業など人生の可能性を広げる機会となり、クライアントにとっては人手不足が解消されるだけでなく、繁忙期に合わせた採用を行うことで人件費の効率化にも寄与しております。ワー カーとクライアント双方に支持され続け、2024年4月末現在、登録ワーカー数は7.7百万人、登録クライアント事業所数は25.4万拠点であり、ワーカーの観点ではサービス利用率、クライアントの観点では求人掲載数に基づき、本邦No.1のスキマバイトプラットフォーム(注1)となっております。 「タイミー」のワーカーは、20代から40代までの若い世代が多く、正社員・パート/アルバイト・契約/派遣社員・学生といった様々な職業の方に性別問わずご利用いただいております。クライアントは、サービス開始以降、物流業界や飲食・小売業界を中心にご利用いただいております。近年は人流回復やインバウンド需要の回復に伴い、ホテル・宿泊業界での利用も伸びてくるなど、様々な業界でご利用いただけるサービスとして成長しておりま す。 なお、クライアントは初期費用、掲載料無料で、「タイミー」に最短1時間の業務時間から求人情報を掲載することができます。クライアントが当社へ支払う手数料は、原則としてワーカーに支払う賃金報酬及び交通費の合計額(以下、「賃金報酬等」といいます。)の30%程度であり、成果報酬型の料金体系を採用しております。(以下略)
【財務状況】
引用:株式会社タイミー(E39760) 有価証券届出書(新規公開時)
https://disclosure2dl.edinet-fsa.go.jp/searchdocument/pdf/S100TPSC.pdf
決算期 | 2022/10 | 2023/10 | 2024/4 (6ヶ月) |
売上高 | 6,217 | 16,145 | 12,450 |
経常利益 | 115 | 1,924 | 1,617 |
純資産 | 4,391 | 6,202 | 7,180 |
総資産 | 8,790 | 17,800 | 23,724 |
従業員数 | 350 | 708 | 917 |
成長性を評価してみた
成長性への納得(プラス点数)
1 スポットワーク仲介市場開拓者としての先行優位性
評価+3点
- タイミーは2018年にスポットワークの仲介サービスを開始した。若者や副業を求める会社員などに広まり、新型コロナ後のサービス業人手不足も追い風となり市場が拡大した。現在は、スポットワークはスキマバイトという名で社会的地位を得ており、スポットワーク事業者への求職登録者数はのべ2000万人を超えたというデータもある。
- この急成長する市場を開拓した先駆者がタイミーで、「時間単位」「スマホでマッチング」「履歴書面接なし」「仲介業者が賃金を立替え、直ぐ振込」など、働き方の柔軟性やスマホアプリとの親和性の高いサービスを開発した。市場を創造した、非常に優秀なベンチャーである。当社が現在のマーケットリーダーとなっており、全国で圧倒的な知名度がある。
- このビジネスの要点は企業から求人情報を得ることで、営業マンが日々駆け回って求人企業を開拓している。昔のリクルート社みたいなもの。求人情報を得るにも、求職者から登録されるのも、知名度は非常に重要である。当社は知名度において高い優位性がある。
2 低所得層向けビジネスは、規制されるまで成長し儲かる
評価+3点
- この業態は、いわゆる低所得層向けビジネスというカテゴリーだと判断する。低所得層向けビジネスは江戸時代の手配師や烏金など古くからあり、現在の人材派遣やリボ払など、利用を始めるとなかなか抜けられないのが特徴である。
- このビジネスは、サービス提供企業側からすると非常に旨味がある。今後何らかの規制が行われていくのだろうが、当社ほどの市場認知とシェアを確立しておけば、規制後も十分にやっていけると思われる。
成長性への懸念(マイナス点数)
1 法規制懸念および倫理的な課題から規制の懸念あり
評価▲1点
- スポットワーク仲介業を法令違反と指摘する専門家は多く、webではたくさんの批判が掲載されている。アルは法律専門家ではないので具体的には指摘しないが、新しい市場を開くため、法規制のグレーな隙間を突くという戦略が現状まではうまくいったようだ。
- 最近では、非正規労働者の地位生活の不安定が社会問題となっている。スポットワークは、スマホさえあればできる究極の不安定雇用とも言われ、現場では様々な問題も起きている。更にタイミーは「社会保険を適用させない制限」まで設けて、就業不安定で生活に問題が出る社会問題を深刻化させている。スポットワークがサービス業の人手不足の補充となれば、賃上げや正規雇用者定着の阻害にもなる可能性が高い。近い将来、法規制や倫理的観点(例.ウーバーイーツ)から市場が縮小衰退することは、十分に予想できる。
2 参入する大手資本との競争が激化
評価▲1点
- スポットワーク仲介市場はすでに激戦区となっており、メルカリが今年3月に参入し、リクルートが今秋に参入するなど大手資本も進出してくる。大手資本は、法整備が追いついていない急成長市場なのでリスクを見ていたが、どうも政府黙認状態が続きそうなので進出してきたようだ。
- どの企業のサービスも大差なく、求職者は2〜3のスポットワークアプリに同時登録して好条件バイトを探しているため、タイミーの先行優位性は時間とともに薄れていくと判断される。