MFS[エムエフエス]
2024年6月 東証グロース市場 IPO
会社URL:https://www.mortgagefss.jp/
成長力 C : だんだん成長する
- 住宅ローン提案サービス「モゲチェック」の運営会社が上場する。
- モゲチェックは住宅ローン比較サイトではなくて、個人情報を入れるとオススメ金融機関や融資審査通過率を判定し、アフターフォローまでしてくれる。当社はローン提案サービスを、住宅ローンと投資マンション等不動産ローンの2分野で提供し、新規借入や借換のユーザーニーズを取り込んでいるよ。
- そうだね。秀逸なビジネスモデルで、目立った競合もいない。ただ、見かけよりも対象市場が限定的で、成長性と収益性に課題を残しているね。
- 金融機関で住宅ローンに携わった者の多くが考えつくサービス分野だけど、IPOレベルまで仕上げたのは当社だけ。見事だね。応援しています。
アルが評価する成長可能性
会社の概況
【有価証券届出書による事業内容】
(前略)当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、創業以来、「テクノロジーと分析の力でユーザーにパワーを」をミッションに、「真にユーザーサイドに立った新しいフィナンシャルサービスを作る」をビジョンに掲げています。 また、当社のバリュー(行動指針)として、「Enjoy(挑戦は明るく楽しく。そして、チーム一丸となってゴールに向かおう。)」「Big Try(非連続な成長ポイントを見極め、果敢にチャレンジしよう。)」「Professional(ビジネスは結果が全て。結果に繋がるアクションを自分の頭で考えて実行しよう。)」の3つを定めております。多くの人にとって人生最大の借り入れとなり得る住宅ローンについて、借手の立場で最適な住宅ローンをアドバイスしてくれるサービス、「住宅ローンを必要とする全ての人が、最も有利な条件で借り入れ、借り換えできる」世界の実現を目指しており、住宅ローンの借り入れ、借り換えに伴う人々の意思決定を支えるプラットフォームを作り上げたいと考えております。
当該ミッションを果たすために、当社、連結子会社(コンドミニアム・アセットマネジメント株式会社)の計2社で、住宅ローン及び不動産投資用ローンの媒介、投資用不動産の媒介を主な事業として取り組んでいます。
住宅ローンにおける業務は依然として手書きの事務作業が多く、書類も煩雑であるなどユーザー側が作業を行う事務負担が大きい状態にあります。また、不動産会社が主導で金融機関を紹介することによるミスマッチの発生など、 業界全体として様々な課題を抱えていると考えられます。加えて、IT化が進んでいないという側面は不動産会社側に も少なからず事務負担の増加など影響を及ぼしているものと考えられます。当社グループは、テクノロジーを活用してこれらの課題に取り組んでおり、住宅ローンを検討するユーザーや不動産会社の負担を減らすだけでなく、一生に一度の住宅購入をより満足に行える機会を作ることで、人々の幸せに寄与することを目指しております。(以下略)
【財務状況】
引用:株式会社MFS(E39668) 有価証券届出書(新規公開時)
https://disclosure2dl.edinet-fsa.go.jp/searchdocument/pdf/S100TGHH.pdf
決算期 | 2022/6 | 2023/6 | 2024/3 (9ヶ月) |
売上高 | 844 | 1,608 | 1,420 |
経常利益 | ▲552 | ▲147 | ▲59 |
純資産 | 469 | 1,189 | 1,128 |
総資産 | 926 | 1,944 | 1,683 |
従業員数 | 45 | 49 |
成長性を評価してみた
成長性への納得(プラス点数)
1 住宅金融に深い造詣がある
評価+3点
- モゲチェックは貸金業に基づいたオンライン住宅ローン提案サービスで、顧客がWebで個人情報を入力すれば、おすすめ金融機関と借入審査承認率を判定し、審査申込み手続きなどのアフターフォローまで行ってくれる。
- 住宅ローンというのは顧客、金融機関、不動産業者という関係者全員にとって、手間がかかる金融サービスであった。その構造を熟知して、ネット銀行やメガバンクとの提携を行い、唯一無二とも言える利便性高いサービスに仕上げた当社の知恵はすごい。
2 オンラインサービスだが事業基盤は強固
評価+1点
- モゲチェックは、広告収入を基礎とした住宅ローン比較サイトとは別物である。リアル店舗から創業しオンラインサービスに発展しているが、経緯やビジネスモデル、提携金融機関の顔ぶれからして実態性が強い。
- 国内住宅ローン市場が順調に拡大する中で、住宅ローンを検討する者の多くが、ネット検索で金融機関を比較する。その中の一定割合は、独自サービスのある当社サイトを利用すると考えられるため、事業の維持拡大については問題ないと考えられる。
- 当社は、モゲチェックのノウハウを投資マンションなどに活かしたINVASEというサービスも立ち上げたが、こちらも有望なビジネスモデルと判断される。
成長性への懸念(マイナス点数)
1 マーケットが限定的で急成長性は難しい
評価▲1点
- モゲチェックもINVASEも、都市圏の顧客をメインとしている。地方の金融機関との提携がないのは、地域金融機関は当社のサービスを脅威やパートナーと捉えていないからだと思われる。住宅ローン融資は容易な案件も、難しい案件もある。都市圏の容易な案件以外は、メガバンクやネット銀行が手を出さない、手を出せないことを地域金融機関は熟知していて、当社のようなサービスを必要としていない。
- 当社のユーザー紹介が成立するのは、メガバンクやネット銀行などを利用して、給与所得者が都市圏の物件でローンを組む場面と想定される。更に、高額ローンを組もうというユーザーは、賢く知識もあり慎重なので、当社のサービスに個人情報を登録し審査通過率を判定してもいいと思うユーザーは更にその一部だろう。
2 現時点では収益力が低い
評価▲1点
- 当社ほど秀逸なビジネスモデルを時間をかけて立ち上げてきて、まだ赤字が続いているのは不思議である。おそらく、手数料収入、広告代理店への支払、システム投資などの収益構造でバランスがとれるまで至っていないからだろう。
- IT系ベンチャー企業は高収益高成長が期待される。当社も発想の転換的な取り組みで、早期に高収益化していくことに期待したい。