2024年4月

レジル

アル

2024年4月 東証グロース市場 IPO

会社URL:https://rezil.co.jp/

とりあえず総評

成長力 C : だんだん成長する!

納得点数懸念点数成長性
総合評価
+5点▲3点2 
(ランクC)
※足元株価は考慮せず、総合評価はA~Eだよ!
  • 業歴長いけど新電力だね。大阪府地盤の中央電力として知られ、主力事業のマンション一括受電サービスでは、導入シェア22%で同業2位、17万世帯と契約している。コスト競争力があり、乗換顧客の取り込みも順調だよ。
  • 当社はTeamEnergyグループ代表の中村誠司氏が創業者で、IPO直前に現経営陣へ経営を任せた様子。中村氏は大株主として、当社を「新電力」から「クライメートテック企業」に進化させたいようだ。

サピくん
サピくん
  • 新電力は事業実態に比して財務数値が大きく出るんだ。サービス業や製造業と比較する場合は、掛け目1/10とし、当社は年商45億円で利益5億円の規模となる。東証グロース市場IPOに妥当な水準だね。
  • アルの業界所見(後述)では、当社が当面主力とする新電力業界では、数年毎に想定外のリスクが発生し、事業継続ができない企業が多い。
  • クライメートテック企業に進化して、主力事業を多様化してしまうことに期待したい。

アル
アル

アルが評価する成長性

どんな会社だと公表されているの?

会社の概況

【有価証券届出書による事業内容】

(前略)当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社及び連結子会社(中央電力ソリューション株式会社及び中央電力エナジー株式会社)の計3社で構成されており、主にマンション向けに受変電設備設置による電力供給を行う分散型エネルギー事業、法人の脱炭素化支援や電力供給を行うグリーンエネルギー事業、電力会社等のエネルギー企業の後方業務のDXによる業務改革支援を行うエネルギーDX事業を主な事業として取り組んでおります。(以下略)

【財務状況】

引用:レジル株式会社(E39488) 有価証券届出書(新規公開時)
https://disclosure2dl.edinet-fsa.go.jp/searchdocument/pdf/S100T39K.pdf
決算期2022/3
(通常12ヶ月)
2023/6
(変則15ヶ月)
2024/3
(第3Q 9ヶ月)
売上高30,99048,86730,476
経常利益1,7141,9732,676
純資産5,2896,2237,725
総資産15,36114,94916,645
従業員数198181209
(単位:百万円)
アルの視点からはどんな会社なの?

成長性を評価してみた

成長性への納得(プラス点数)

1 自社運用の一括受電システムの競争力あり

  評価+3点

  • 「新電力」とは、大手地域電力会社以外の電力会社のことで、2016年の電力自由化に伴い、電力販売が全面解禁され、消費者が契約する電力会社を自由に選べるようになった。「マンション一括受電システム」の説明は他サイトで。要は、マンション全体で一括契約すると高圧が使えて、各室の電気料が安くなるという仕組み。
  • 当社は、マンション一括受電サービスの導入シェア22%でシェア2位、17万世帯と契約している。競合大手と違うのは、仕入、保安、コールセンターを自社保有するため、コスト競争力が強いこと。マンション新築時は大手同業に劣後することはあっても、設定電気料が安いので、一括受電開始や他社乗換を検討する既存マンションの取り込みには強い。

2 クライメートテック企業への転換志向

  評価+2点

  • 新電力事業だけなら成長頭打ちだが、当社は、クライメートテック企業への成長方向性を2023年に打ち出し、社名変更をしている。
  • 創業者の中村誠司氏は当社を経営してきたが、上場目前で経営から退き、当社筆頭株主であるTeamEnergyの運営に注力するようだ。しかし、中村氏のビジョンと手腕は秀逸であり、筆頭株主として引き続き当社を率いていくと思われる。クライメートテック企業への成長が楽しみである。

成長性への懸念(マイナス点数)

1 想定不可かつ甚大な業界リスク

  評価▲3点

  • 電力自由化により事業を開始した新電力会社は700社以上あるけど、ここ数年でその1/3前後が倒産や事業撤退となっている。上場企業でも、業績堅調なイーレックスが、2024年3月決算で急に大赤字となっている。
  • 業界へのアル所見①:新電力会社は、従業員数や事業体力に比して、売上利益ともに10倍以上の数字が出る。だから、売上高利益額が同水準の他業界の企業に比して、与信や投資の損失リスクも10倍以上を覚悟する必要がある。
  • 業界へのアル所見②:想定外の事業リスクが数年毎に顕在化し、どんなに顧客基盤があり財務優良な企業でも、事業継続できなくなる場合がある。これからも同様のことは起こるだろう。

ABOUT ME
アル
アル
新規事業の構想が大好きです
IPOで株式市場に登場する企業から学びを得ています

職歴:ベンチャーキャピタル、リース会社企画部門、銀行法人融資
資格:応用情報技術者、中小企業診断士、FP1級ほか
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