イタミアート
2024年4月 東証グロース市場 IPO
会社URL:https://www.itamiarts.co.jp/
成長力 C : だんだん成長する!
自社ECサイトで、「のぼり旗や幕」といったセールスプロモーション商材を受注販売している岡山県の企業だよ。BtoB向け「キングシリーズ」など18サイトも運用している。
SEO対策により、Google検索結果などでの上位維持には自信ある様子。
商品数やカテゴリーの幅を広げることを成長戦略とし、販促物のプラットフォームを目指している。オフィス用品市場のアスクルを目指すみたいな感じかな。
サイトで受注したデータを自社印刷工場に直結して、ローコストオペレーションできるところも強みかな。収益力向上と参入障壁になっているみたい。
Google検索などのアルゴリズム変動リスクや、印刷対象商材の市場規模縮小など成長リスクはあるけど、良い企業だと思うよ。
アルが評価する成長性
会社の概況
【事業の内容】
(前略)当社は、「「IT」×「モノづくり」の力で世の中を変える。」をミッションに掲げ、伝統的な印刷業界でインターネットを活用し、D2C(Direct to Consumer)ビジネスモデルと効率的な社内管理システムを自社独自で構築することで、必要な時に必要な分だけを低価格かつ迅速に制作し、安定した品質の商品を顧客に届けるべく、事業を展開しております。
引用:株式会社イタミアート(E39273) 有価証券届出書(新規公開時)
主な事業内容は、飲食業、小売業、広告代理店などにご利用頂いているBtoB向けECサイト「キングシリーズ」など、18サイトの運営と卸販売事業であります。インターネットを通じ、屋外に設置するメディアOOH(アウト・オブ・ホーム)広告の代表的な媒体のひとつであるのぼり旗、幕、看板といったオリジナル大型セールスプロモーション商材(以降、SP商材)の商品企画、サイト構築、集客、販売、制作、出荷の全工程を自社で行い(注)、顧客に対して柔軟性・利便性の高いサービス、安定した品質、短
納期、低価格販売を実現しております。(以下略)
https://disclosure2dl.edinet-fsa.go.jp/searchdocument/pdf/S100SZSH.pdf
【財務状況】
決算期 | 2022/1 | 2023/1 | 2024/1 |
売上高 | 2,107 | 2,507 | 3,112 |
経常利益 | 18 | 127 | 222 |
純資産 | 176 | 270 | 421 |
総資産 | 2,092 | 2,227 | 2,527 |
借入金 | 1,436 | 1,201 | 1,585 |
従業員数 | 53 | 79 | 100 |
成長性を評価してみた
成長性への納得(プラス点数)
1 自社ECサイトが強い 納得+3点
- SEO(自然検索)対策に社内専門チームを設置して、主要ECサイト「のぼりキング」では、Google検索順位で検索キーワード「のぼり」で1位、「のぼり旗」で2位を獲得していると公表している。これは正直すごいと思う。
- 主要ECサイトの売上構成は約75%が既存顧客からのリピート注文となっているため、検索サイトから流入した顧客囲い込み施策も機能しているようだ。
- 各サイトの成長性×カテゴリー数拡大×取り扱い商品の横展開による3軸で売上成長を目指す会社方針は妥当と判断される。「販促物のプラットフォームを目指す」という成長方向性も納得できるね。
2 自社工場保有で収益性高い 評価+2点
- 受注から生産への一貫体制は強いね。受注情報と連携する製造管理システムが効率良い印刷工程を指示して、ローコストオペレーションを製造現場でも実現。自社独自のシステムが販売から生産まで、全てのバックオフィス業務をDX化、という会社説明がある。確かにローコストオペレーション実現で参入障壁が構築されていると思う。
- 収益力はまずまずで、東証プライム市場で時価総額2,000億円を超える事務用品EC事業者アスクルが経常利益率4%前後であることを勘案すると、EC事業者としては収益性が高い。
- ECサイトのビジネスは立地を選ばない。岡山県という、ヒトモノ土地を低コストで取得できる地域性を強みに、今後も採算の良い投資をしていけそうだ。
成長性への懸念(マイナス点数)
1 検索エンジン頼みの集客 評価▲1点
- 当社ECサイトへの流入の多くは自然検索より得ており検索エンジンのアルゴリズム次第で、受注量が変動する。
- これは当社目論見書のリスクにも影響大として記載があるけど、大きなリスクだよね。
2 主力商品の市場衰退懸念 評価▲1点
- 当社の成長は、のぼり旗などを顧客が発注する際に、それをネットで検索し比較して発注するようになったというところが大きい。のぼり旗や幕などの市場規模は漸減してくと思われる。
- 会社は、取り扱い品を様々な販促物に広げていくとIRしているけど、主力品のマーケットの成長が見込めないのは懸念事項だよね。
3 印刷業界自体の低成長性 評価▲1点
- 業種は「その他製造業」だけど、製造品付加価値の大半が販促品への印刷関連事業だと思われる。
- 当社は販促品業界の受発注形態のDX化で伸びた企業だけど、印刷関連事業である限りはDX化による代替品影響を受けて、飛躍的な成長は難しいかもしれない。